福永洋一建築設計事務所

　地域のこども達を対象とした学習教室を併設しています。自宅の一室を開放して何かしら教室を営む例はたくさんありますが、そのほとんどはプライベート（生活）とパブリック（教室）の動線など、仕方が無いからと混在してしまいます。このお家に、この先生に、我が子を学ばせたいと思って頂かなければなりません。日曜をのぞく週四日はこの学習塾の顔となる玄関ですが、クライアントさんにも学校から帰ってくるお子さんがいらっしゃいましたので、大きな住宅ではありませんがふたつの玄関アプローチ動線を設けることにしました。

　実はこの計画にはもうひとつ大切な要望がありました。家相家が毎回修正プランをチェックするという本格的な（少し変わった？）取り入れ方です。家相本マニュアルなどはあまり役に立たず、平面から感じとる吉（あるいは凶）を「だからこうなってしまった」とはならないようにプランとデザインの修正を重ねました。

　木架構は国産杉の四寸材、内外仕上材のほとんどは自然素材100%でまとめています。また、長期優良住宅補助事業により120万の補助金を受けたことにより消費税額相当をコスト面でまかなっています。

　敷地周辺は畑も点在した瓦屋根の古家も残る街並みです。新築にはちがいありませんが、前から建っていたような佇まいになるように、控えめでも凜とした雰囲気になりますように。クライアントさんの人柄や印象を素直なかたちで表現するよう心掛けました。